印刷会社のための自治体ビジネス攻略ガイド – 入札参加の基礎から実践のポイントまで
印刷業界において、安定した取引先の確保は経営の基盤となります。
特に自治体との取引は、定期的な発注が見込める貴重なビジネスチャンスです。
しかし、「どのように自治体と取引を始めればよいのか」「入札に参加するための手続きは何か」
といった疑問をお持ちの印刷会社も少なくないでしょう。
本記事では、現在がまさに自治体が業者選定のための見積もり検討を行う時期であることに着目し、
これから自治体ビジネスに参入したい、あるいは取引を拡大したい印刷会社の皆様に向けて、
入札参加の基本的な流れや成功のポイントを解説します。
すでに自治体との取引がある企業にとっても、戦略を見直す良い機会となるでしょう。
自治体との取引を始めるには、まず入札に参加するための資格取得から始める必要があります。
具体的な流れは以下の通りです。
入札に参加するには、まず役所の審査を受けて資格を取得することが必須です。
重要なのは、国の資格と自治体の資格は別々であり、取引を希望する自治体ごとに申請が必要となる点です。
資格取得には一定の時間がかかりますので、計画的に進めましょう。
資格を取得したら、日々自治体のウェブサイトをチェックして最新の入札情報を収集します。
多くの自治体は公式サイトの「入札情報」や「事業者向け情報」などのページで、新規の入札案件を公開しています。
見逃さないよう定期的な確認が重要です。
関心のある入札案件が出たら、その案件の説明会に参加します。
ここで案件の詳細情報を得ることができるだけでなく、どの企業が参加しているかを把握する絶好の機会にもなります。
質問できる場合は積極的に情報収集しましょう。
説明会で得た情報をもとに、自社の強みを活かした企画書を作成し提出します。
この段階での提案内容の質が、落札の可能性を大きく左右します。
提出した企画書の内容について、技術的な審査が行われます。
この審査では、提案内容の実現可能性や効果性などが評価されます。
すべての審査を通過すると、最終的に落札結果が通知されます。
落札できなかった場合でも、次回の参考にするため、可能であれば落札理由などの情報を収集しておくことが大切です。
自治体との取引を成功させるためには、まず相手の組織体制と優先事項を理解することが重要です。
自治体の行政計画を確認し、例えば「今年はインバウンド観光に力を入れる」などの情報を把握しておくと、
的を射た提案ができます。
自治体のウェブサイトで公開されている総合計画や年度計画は、こうした情報の宝庫です。
自治体の予算編成スケジュールを把握することも非常に重要です。
一般的に自治体は4月から8月にかけて業者から見積もりを収集し検討を進め、9月から2月にかけて実際の発注を行います。
このサイクルを理解していれば、適切なタイミングでアプローチすることが可能になります。
例えば、7月頃に次年度の予算編成に向けた見積もり依頼が増えますので、
その前に営業活動を行うことで、予算に自社のサービスや製品が組み込まれる可能性が高まります。
また、年度末の2月から3月には、余剰予算を使い切るための急な発注も発生しやすいため、
この時期にもアンテナを張っておくとビジネスチャンスが広がります。
自治体の担当者が抱える課題や目標を理解し、それを解決できる具体的な提案書を作成することが重要です。
また、最終決定者(多くの場合は課長や部長クラス)の意図も把握できれば、さらに効果的な提案が可能になります。
数多くの提案が集まる中で目立つためには、訴求点を絞り込むことが効果的です。
特に、他の自治体での実績があれば積極的に盛り込みましょう。
また、自治体の担当者は必ずしも印刷の専門知識を持っているわけではないため、
専門用語を避け、分かりやすく訴求点をまとめることが大切です。
入札では他社との差別化が勝敗を分けます。事前説明会などで、どの会社が参加しているかをチェックし、
それらの会社との差別化ポイントを明確にした提案を行いましょう。
例えば、地元企業であれば地域への貢献度をアピールする、特殊な印刷技術があれば具体的な事例とともに紹介するなど、
自社の強みを前面に出した提案が効果的です。
また、過去の公募で落札された結果について知りたい場合は、自治体に直接電話で問い合わせてみるのも一つの方法です。
多くの場合、落札金額や決め手となった要素について教えてくれることがあります。
こうした情報は次回の提案に活かせる貴重な資料となります。
実際に、ここ1年ほどで新しく自治体への提案を始めた印刷会社の営業担当者からは、
「各自治体に合わせて企画を考えて提案書を作成しています。今さらですが、もっと早くから自治体に取り組んでいれば、と思います」という声が聞かれました。
このように、一度取引が始まれば継続的なビジネスにつながる可能性が高いため、早めの参入が望ましいと言えるでしょう。
自治体への提案をより魅力的にするツールとして注目されているのが「キュリア」です。
キュリアは、スマートフォン向けのデジタルコンテンツを誰でも簡単に作れるノーコードツールです。
以下のような特長があります。
・20種類以上のテンプレート(抽選、ガチャ、フォトフレーム、クーポンなど)を用意
・QRコードの背景に好きな画像を設定できる「デザインQR」の作成が可能
・外注不要でコスト削減
・クラウド型なので即時の仕様変更にも対応可能
・個別ログが取れる「バリアブルQR」対応
自治体向けのプロモーションに、印刷とデジタルを組み合わせた提案が可能となり、他社と差別化しやすくなります。
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自治体との取引は、印刷会社にとって安定した受注源となる可能性を秘めています。
入札参加のための資格取得から始まり、日々の情報収集、効果的な提案書の作成、そして他社との差別化戦略まで、
一連のプロセスを理解し実践することで、自治体ビジネスでの成功率を高めることができます。
特に重要なのは、自治体の予算編成サイクルを理解し、適切なタイミングでアプローチすることです。
現在はまさに自治体が次年度の予算編成に向けて業者からの見積もりを収集している時期ですので、
これから自治体との取引を始めたい、あるいは拡大したいと考えている印刷会社にとっては、絶好のチャンスと言えるでしょう。
まずは情報収集と参加資格の取得から始め、自社の強みを活かした戦略的な提案を行うことで、
印刷業界における新たなビジネスチャンスを掴んでいただければ幸いです。